水牛ボタンとプラスチック製水牛調ボタンのこと

「ファッション資材の知恵袋」ブログ第4話

雲が多いですが、夏の青空が顔を覗かせている東京です。広島、岡山を中心として西日本では豪雨による被害が広がっています。1日も早い復興を祈っております。また、くれぐれもお気をつけください。

ボタンの基本的な素材についてお話の第2弾。今回は「水牛ボタンとそのプラスチック製ボタン」を紹介します。天然素材である水牛ボタン、一般的に使われている天然素材ボタンの中では一番高級です。コート、ジャケット、パンツによく使われます。

ボタンの素材とは?

ボタンの素材はいっぱいあるので、今回はよく使われる素材をご紹介します。まず、ボタンの素材には天然素材のものと、その天然素材を真似たプラスチック(樹脂)素材があります。天然素材の方が価格的は高いです。また、原料の量にもよるので、原料によって価格が大きく変わりますが、プラスチック製のものは価格もリーズナブルで、素材による価格の違いは少ないです。では、今回は水牛ボタンについて詳しく見ていきましょう。

本水牛ボタンについて

水牛ボタンは原料は水牛の角です。この角をタブレットと言って、オセロのコマみたいな形状にして、それを削ってボタンの形にします。原料は中国、東南アジア、インドなどで取られるものが多いです。

水牛のイメージです

本水牛ボタン

本物の水牛の角を原料にしたボタンをプラスチックと分けるために本水牛ボタンなどと言ったりします。先ほども述べましたが、この本水牛ボタンは一般的に使われる素材の中で最高級品。ラグジュアリーブランドのスーツやコートには本水牛ボタンがよく使われています。

イタリア生地のコートに本水牛ボタン

「タツ型」と「板もの」

本水牛ボタンは大きく2種類あります。一つが「タツ型」、もう一つが「板もの」と言います。タツ型は角の内部の詰まった部分を輪切りにして取ったもので、マーブル調の渦の柄が特徴です(黒は白い筋が多い)。一般的に本水牛で使われるものはこのタツ型がほとんどです。

タツ型

もう一つの「板もの」ですが、これは空洞のある角の部分を原料として、角を板のように開いて、丸く抜いて原料にしているもの。こちらは渦の柄ではなく、刷毛でなぞったような、筋が入るのが特徴的です。

板もの

色によって単価が違う!?

プラスチックのボタンは色によって値段が違うことはないのですが、この本水牛ボタンは色によって原料が変わるので値段が違うのです。同じボタンの品番なのに、色によって値段が違うボタンは本水牛ボタンくらいです。色は黒っぽい方がリーズナブルで、ベージュ系の透明度が高い方が高価になります。単価が結構違ったりするので、確認してから注文してくださいね!

ちなみに白い本水牛ボタンは水牛の骨を原料にしています。夏物のジャケットに使うことが多いです。

もう一つ水牛ボタンで、紹介しておかなければならないのがこれ!

そう、ダッフルコートのボタンです。ダッフルコートは北欧の漁師の防寒着から来ていて、手袋をしていても取り外せるように大きなボタンを使い、取り付ける方は紐になっています。

水牛調のプラスチックボタン

本物の水牛ボタンは高価です。そのために、水牛に似せたイミテーションのボタンが、プラスチック製の水牛調ボタンです。このプラスチックの原料には2種類あります。一つはユリア樹脂で、もう一つはポリエステル樹脂です。原料の違いと製法の違いがありますが、素人目にはどっちがどっちかはわかりません。ユリア樹脂の方が柄の再現性が高く、より本物に近いものが作れると言われています。一方で、ユリア樹脂は後染色が不可で、製造時にホルマリンを少量含むので、2歳以下の乳幼児には使用できません。ポリエステルはどちらも可能です。ちなみに下記の3つのボタンは本水牛、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂と3種類なんですが、どれがどれかわからないですよね?

 

答えは、左から本水牛、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂のボタンなんです。日本のボタンメーカーの技術は本当に凄いです。プラスチックと言ってもかなり精巧にできています。下の写真もすべてプラスチックのボタンです。

まとめ

貝ボタンに引き続き、天然素材とプラスチック素材の水牛ボタンを紹介しました。素人目には天然かプラスチックかほとんど分からないボタンも多いです。私たちでも分からないのもあるくらいです(笑)一つ言えるのは、天然素材は一つとして同じ柄のボタンは無いってこと。逆にプラスチック製は同じ柄が何個もできます。なので、一つひとつ柄が違うボタンだったら本水牛の可能性が高いですね!

いい生地の洋服には本水牛ボタンを使って欲しいですね!骨も結構、味があっていいですよ!

ボタンの素材図鑑を収録した小冊子「付属選びのハンドブック」を無料配布しているので、ご希望の方は下の問い合わせフォームから。備考欄に「ハンドブック希望」と明記してください。

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社クロップオザキの代表取締役 尾崎博之。生地、ボタン、ファスナーなどのファッション資材を扱う会社での営業を20年以上経験。顧客はアパレル会社、セレクトショップ、商社など幅広い。その経験と知識を生かして、ファッション資材に関する悩みを解消したり、資材調達の手間を省くための活動を行っている。 詳しいプロフィールはコチラ