タグレスプリントをご存知ですか?

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最近、Tシャツやポロシャツ、ランニング用の薄いブルゾンなどブランドネームや洗濯ネームがプリントされているものを見ませんか。今までは織ネームやプリントネームが使われていたのが、生地に直接プリントされているものです。これは直接プリント(シルクスクリーン印刷)、転写マーク(熱で圧着)、そしてタグレスプリントというものがあります。日本でよく使われるのが転写マークです。今回紹介するのは日本ではほとんど使われていないタグレスプリントです。初めて聞く人も多いと思います。

ブランドネームの種類

ブランドネームの中で一番一般的なのはブランドネームで言うと織りネーム。レピア織りと言って専用織機を使って織りでブランドロゴを表現したものです。

織りネーム

織りネームと同じくらい一般的なのがプリントネーム。これはテープにプリントをしてロゴを表現したもの。織りネームより繊細な文字まで表現できますが、織りネームの方が高級感があります。

プリントネーム(ピスネーム)

そして、最近スポーツウェアに多いのが転写マークです。転写マークはプラスチックシートにプリントしたものを生地にあて、熱を掛けて生地に圧着。その後シートを剥がして、生地に直接プリントしたように見えるもの。織りネームやプリントネームと違って生地にぴったり付いているので肌に触れても違和感がありません。また、直接プリントより加工に手間が掛からないのも特徴です。

転写マークのブランドネーム

よく見るこんなのも転写マークです

織りネームや転写マークの詳しい内容は過去のこちらのブログを参考にしてください。

織りネーム:http://ceo.cropozaki.com/accessories/brandname/shuttle20190227/

転写マーク:http://ceo.cropozaki.com/accessories/brandname/brandmark20190226/

洗濯ネームの種類

海外では織りの洗濯ネームも見ますが、日本で洗濯ネームはテープにプリントしたものがほとんどです。印字内容が生地や仕様によって変わるので、臨機応変に対応できるように専用プリンターを使って印字するケースがほとんどです。

一般的な洗濯表示

ある程度、定番的に使うアイテムや生地なんかだと、こちらも転写マークで行うケースもあります。これもランニングウェアなど肌へのあたりを軽減できるのがメリットです。

タグレスプリントとは

そろそろ本題のタグレスプリントのお話に。タグレスプリントはプリント後の見え方は転写マークもしくは直プリントと一緒です。では、何が違うのかというと、転写マークのようにシートがいらず、直接プリントよりも簡単にプリントが可能でコストダウンが図れるのです。

簡単に言うと、専用のプリント機を使ってスタンプのようにプリントします。百聞は一見にしかずなので動画をご覧ください。

 

生地にプリントした動画がこちらです。

タグレスプリントの仕組みとしては鉄板に露光してつくった版にインクを流し、その版からシリコンパッドが印刷部分のインクだけを吸い取り、生地にプリントしていきます(パッド印刷)。プリント時間は転写マークの圧着時間より短く、シートを剥がす作業もありません。直接プリントのようにプリント後のベイキングも不要なので加工工程が減り、時間も短縮できます。1枚あたりのコストは転写マークの1/5とも言われています。

シリコンパッドと版

タグレスプリントの見本

私がこのタグレスプリントを初めて見たのはベトナムでナイキのTシャツを縫っている縫製工場でした。そして、今回このタグレスプリントの版やサンプルを作成してくれたのが、私の経営者仲間の阿部特殊製版所さん(社名をクリックでHPへ)。阿部特殊製版所さんは今までアパレル業界への参入はしていませんでしたが、このタグレスプリントをきっかけにアパレルへの参入を考えています。

タグレスプリントのメリット・デメリット

コストの削減を見込めるタグレスプリントにはメリットも多いですが、デメリットもあります。それをまとめてみました。

タグレスプリントのメリット

  • 一着あたりのコストダウン:転写マークに比べて安価であり、直接プリントのように外部に出す必要がなく(専用プリンターがあれば)行ったり来たりの運賃が掛からない。
  • 加工時間の短縮:加工時間が短縮でき、納期短縮に結びつく。
  • 着心地の良さ:あたりが全くでないので直接肌に触れても違和感がない。

タグレスプリントのデメリット

  • 専用のプリンターが必要:1台100万円程度の専用プリンターが必要。
  • 1色プリントが主に:1台のプリンターで1色プリントが主流なので、2色プリントになると2台プリンターを置くか、より高価な2色プリント可能なプリンターが必要に。
  • 濃い色の生地に薄い色のプリントだと2−3回の押しが必要:例えば、黒地の生地に白プリントだと3回ほど押さないとはっきり写らない。
  • 版を工場毎に用意:複数の縫製工場を利用する場合、その工場毎に版が必要になる。

まだまだタグレスプリントはメジャーではありませんが、需要が増えてくればプリンターの値段も下がったり、インクの精度も上がって押す回数が少なくてハッキリしたプリントができるようになったりする可能性があります。

当社も阿部特殊製版所さんもこれからどのようにこのタグレスプリントを持っていくか思案中ですが、プリンター、インク、版、シリコンパッドをセットで提供する予定で動いています。

もしご興味あればこちらからお問い合わせください。

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社クロップオザキの代表取締役 尾崎博之。生地、ボタン、ファスナーなどのファッション資材を扱う会社での営業を20年以上経験。顧客はアパレル会社、セレクトショップ、商社など幅広い。その経験と知識を生かして、ファッション資材に関する悩みを解消したり、資材調達の手間を省くための活動を行っている。 詳しいプロフィールはコチラ