ファッション資材の知恵袋ブログ!
一重のジャケットやコート(裏地の付いてないということ)で、裏側をよくバインダーで始末しています。あのテープのことをバイアステープと言ったり、バインダーテープと言ったりします。今回はこのバイアステープとアンコンジャケットを紹介します。
バイアステープとは
縫代を部分を覆い隠すために使っているテープをバイアステープと言います。このバイアステープは織物やメッシュの生地などを斜め45度に細幅にカットし、テープ状につなぎ合わせたテープです。
なぜ斜め45度なのでしょうか?織物の生地はストレッチの糸が入っていない限り、生地を左右上下に引っ張っても基本的に伸びません。しかし、斜め45度に織物をカットすると斜めに生地が引っ張られるので、少し伸びるようになります。この少しの伸びが大事で、カーブのついた場所を縫うのに必要なのです。バイアステープがよく使われるのはパンツの前立て裏側。下の写真のファスナー横の白いテープ部分がバイアステープ。生地端のほつれ防止と綺麗に仕上げるために使われています。
バイアステープの種類
バイアステープは生地をカットして作るので、生地としてあるものはよっぽど薄いか厚くない限りは作ることができます。生地を支給してもらっても作成することができますが、バイアステープ加工場に原反を用意してあり、すぐに加工できるものもあります。一番よく使われるのはTCブロードです。他にも裏地として使われるサテン、デシン、キュプラ、高密度タフタなどもあります。変わったところでは反射素材や合成皮革、人工皮革と言ったものもあります。
バイアステープの発注方法
生地の種類と色を選んだら、バイアステープは仕上げたい幅に、欲しい状態(折り加工)で発注することができます。例えば、ただ単にフラットな状態の24ミリ幅が欲しければ、24ミリのフラットと注文します。両端が内側に折った状態で欲しければ12ミリの両折れと注文します。だいたいバインダーにして片側の上がりが5mmとか6mmとになることが多いので(下記写真の幅)、フラットだと20~24mmとか、両折れだと12mm両折れがよく使われます。
バイアステープを縫う際にミシンにラッパというアタッチメントを装着して縫うことがあります。縫製工場ではラッパを付けて縫うところがほとんどです。そのラッパの幅によってはバイアステープを手配しても縫えないということがあります。それなので、バイアステープを注文する前に縫製工場に何ミリのバイアステープを手配したらいいか、仕上げはフラットでいいかを確認してください。
アンコンジャケットとバイアステープ
アンコンジャケットという言葉を聞いたことはありますか?
アンコンジャケットとは、アンコストラクテッド(un-constructed)ジャケットの略で、肩パット、裏地、芯地を極力使わずに、ソフトに仕立てたジャケットのことです。テーラードながらカジュアル感が増し、オンでもオフでも着こなせるのがこのアンコンジャケット。以前は春夏もののジャケットに多かったですが、昨今は秋冬ものでもアンコンジャケットが多いです。
アンコンジャケットに欠かせないのがバイアステープ。このバイアステープがアクセントになったりします。アンコジャケットの背中心やフロントの見返し、アームホールの縫代を隠すのにバイアステープが使われるのです。
縫代の生地を多めに取って、そのままその生地を折ったり、巻いたりしてほつれ止めして仕上げたり、ロックミシンで糸で止めて仕上げたりすること仕様もあります。しかし、バイアステープを使うことで仕上りが綺麗になる+デザイン的にも使えるのです!
例えば、これはわざと白いテープを利用して杢ブルーの生地の爽やかさを引き立てています。
このデニムのジャケット。フラワーホールとテープの色を赤に統一。デニム地なので、セルビッチを意識したデザインです。
このジャッケットはストライプの生地を使ったバイアステープを使用しています。ストライプの生地をバイアスにカットするとストライプは斜めになります。それも味だったりします。
最後に
バイアステープはかなり脇役的な存在ですが、ジャケットを脱いだ時にテープが配色だったり、柄がついていたりすると、さりげないオシャレになる訳です。実は裏地付きのジャケットより、このバイアステープで縫代をバインダー始末した方が手間は掛かっています。そういう意味でも価値のある仕様なのです。
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