2020年2回目の海外出張は初めて訪れる国フィンランドでした。北欧の国々はリサイクルやサステイナブルが進んでいるとよく聞きます。実際、フィンランドで見てきました。
ボタン、ファスナー、生地など洋服の資材を扱う株式会社クロップオザキの2代目社長の尾崎博之(@cropozaki)です。 さて、今日のお話は「リサイクル&サステイナブル事情 アパレル編」についてです。
フィランドってどこ?
フィンランドと言ってもどこにあるのか?行ったことない人でハッキリ分かる人は少ないのではないでしょうか。私もそんな一人でした。北欧というのはわかっていますが、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの位置関係がよくわかりませんでした。フィンランドは下の地図の通り北欧3カ国の中では一番東寄りでロシアと国境を接している国です。
その首都のヘルシンキはどこかというと、これも下の地図を見ていただき、一番南の小さい丸の位置です。ヘルシンキは港町でここから大きな客船も出航します。
フィランドの人口は530万人。東京が930万人ですから、全人口が東京の半分強なのです。人口が少ない割りに経済的には豊かな国で、北欧の国らしく福祉も充実しています。教育にはお金が掛かからず、大学も無料。医学部でも無料だそうです。大学生、高校生、中学生の子どもを持つ私には羨ましい限りです。
ヘルシンキのリサイクルセンター
ヘルシンキでリサイクルセンターを訪れてきました。ここは日本でいうリサイクルセンター(廃棄物処理)のようなところではなく、中古品のデパートという感じの場所でした。
ここでは家庭などでいらなくなった物、食器、家具、洋服、靴、家電、自転車、パソコン、絵画、本などあらゆるものを無料で引き取り、使えるように修理したり、綺麗にしたりして、陳列して販売しているのです。まったく使えないようなものは有料で引き取るケースもあるそうです。
ここまでであれば、日本でもブックオフがありますし、オフィス家具の中古店、家電などの中古店もあります。個人だとどメルカリも個人中古市場です。しかし、これはすごいなという取り組みがここではありました。
洋服を買うときに注意するポイントを教育
この売り場の中央付近にあったクローゼット。これを開くと洋服が入っています。これは洋服を売っているのではありません。
開いた扉にはこんなポスターが貼れています。洋服を買う際に見るべきポイントが書かれています。これは安い洋服を買って、生地がよくなかったり、縫製がしっかりしていないと長持ちしないので、しっかり長持ちする洋服かを見極めるポイントを表しています。
洋服ができるまでのライフサイクルの説明。買う前に考えることを促しています。
ハンガーにかかっている洋服にはそれぞれタグが付けられ、素材だったり、縫い方だったりを説明しています。
縫い方まで教えてチェックするように促しているのには驚きました。こう言った教育を学校で行ったり、リサイクルセンターでワークショップを開いたりしているのです。進んでいます。
リサイクル素材を使った衣料も豊富
再生ポリエステルだったり、再生コットンを活用した洋服は町でもいろいろ販売されています。まず訪れたのが、再生原料のみを使った商品やフェアトレード品だけを置いているショップ。
サンプルで購入してきたリサイクルTCのTシャツにはなぜか「森林」のプリント。日本語が流行っているのか、漢字がエコっぽいのか???
そして、百貨店でも。ストックマンのショーウィンドに大々的に訴えています。
「The Post Waste」コレクションとして、100%リサイクルで洋服を作っています。20%は古着からのコットン、40%は縫製時の裁断ロスからのコットン、そして40%はペットボトルからのリサイクルポリエステルを原料にしています。
売り場を見てもブランド品の横にはリサイクルを謳っているフィンランドブランドがあります。
ペットボトルのリサイクル
ペットボトルのリサイクルにも工夫がありました。例えばペットボトルの水を買います。飲み終わった容器をスーパーの地下駐車場などに設置されたボトル回収機に入れると0.2ユーロ戻ってくるのです。ボトルを入れると自動でビンかペットボトルか判別して、レシートが出てきます。このレシートは次のスーパーでの買い物の時にレシートの金額分を割り引いてくれるのです。
昔、日本でもビンを酒屋さんに持っていくと5円や10円もらえるというのがありましたが、それをシステマティックに行っているのです。お金に変わるのであれば回収も進みますよね。その分、水でも日本より高いですが。
フィンランド、パッとみ観光で行っても、リサイクルやサステイナブルが進んでいるというのはわかりません。しかし、リサイクルセンターに行ってみたり、買い物でも視点をそっちに向けてみると日本より進んでいることがすぐにわかります。人口が東京の半分しかいない少なさが、こう言ったことを進めやすくしているのもあるでしょう。しかし、人口が多い国の方が環境に与えるインパクトは大きい訳で、日本もどんどん進めていかないと世界から取り残されてしまいます。
日本のアパレル業界に属する我々も環境負荷についてもっと身近に考え、行動を起こしていく必要があるでしょう。
次回はフィンランドの日常生活についてサステイナブルなお話をします。
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