ファッション資材の知恵袋ブログ!
「付属から見る洋服」というテーマのお話です。「付属」とは以前にも説明していますが、表生地以外の洋服を構成する資材のことです。裏地、ボタン、ファスナーなどがそれに当たります。「付属」は言わば、主役ではないですが、付属にまでこだわりを持っている洋服は、いい洋服と言っていいでしょう。従って、付属屋目線で見た「付属から見るいい洋服」を紹介します。今回はシャツボタンについてです。
シャツボタンの違い
シャツボタンの定番といえば貝ボタンです。貝以外にもナットを使うカジュアルシャツもありますが、Yシャツはほぼ貝ボタンでしょう。
シャツに使われる貝ボタンには、本物の貝とポリエステル(プラスチック)製のものがあります。プラスチック製のものは貝ボタンとは言わず、貝調ポリと言います。
もちろん本物の貝の方がいいですが、パッと見では本物かポリか見分けの付かないくらい綺麗な貝調ポリもあります。また、機能的に貝調ポリの方が強度的に強いのので、よく洗濯するようなものは貝調ポリの方がいいケースがあります。
なので、貝調ポリボタンが付いているから必ずしもよくない洋服とは言えません。用途にもよりますし、デザインにもよるということになります。
しかし、貝調ポリはかなり安いものもありますし、本物の貝ボタンより高いものはほとんどないので、本物の貝ボタンが付いているシャツはいい服と言えるでしょう。天然素材ならでは味がありますしね。
貝ボタンと貝調ポリの見分け方
では、本物の貝ボタンなのか貝調ポリなのかどう見分けるのでしょうか?先ほども述べましたが、最近の貝調ポリはよく出来ているので、正直、素人目にはなかなか難しいです。
一番わかりやすいポイントは水牛ボタンと一緒で、天然素材なのでボタン一つひとつに個体差があります。一方で貝調ポリはほぼ個体差がありません。複数付いているボタンを見比べるとわかるという訳です。ところが、貝ボタンと貝調ポリは表面だけを見ていても、水牛ボタンほどわかりやすくないのです!では、どうするのか?
一番簡単なのはボタンの裏側を見ることです。ボタンの裏側を見るとタカセ貝ボタン(一番一般的な貝ボタン)の場合、貝殻の表面部分が多少残っています。
この白や茶、赤い部分をすべて削ぎ落としたものもありますが、裏側に個体差があるのは本物の証拠です。
白い貝ボタンの種類
シャツによく使われている白いボタン。貝ボタンか貝調ポリかという違いもありますが、貝ボタンの中でも種類があります。一番よく使われているのが上にも出てきたタカセ貝ボタン。高瀬貝という巻貝が原料のボタンです。
タカセ貝ボタンに似た白いボタンで有名なのが白蝶貝ボタン。これは真珠を作る母貝である白蝶貝という2枚貝が原料のボタン。この白蝶貝ボタンはタカセ貝ボタンに似ていますが、貝ボタンの中では最高峰のボタン。白蝶貝は原料自体が少ないとひとつの貝から取れるボタンの量も少ないので高価なのです。タカセの数倍の値段がします。
白蝶貝ボタンとタカセ貝ボタンの違いは、白蝶の方が断然純白度が高く、真珠の母貝だけあり圧倒的な美しさを放つレインボー調の光沢が特徴です。
さらに白蝶貝ボタンは裏側にタカセのような赤い貝がらの跡はありません。しかし、裏側を見ると個体差はわかります。
白い貝ボタンでもうひとつあるのが、淡水貝のボタン。淡水貝はタカセ、白蝶のような透明感がなく、白い部分が多いのが特徴。リーズナブルな貝ボタンです。
まとめ
シャツのボタンによく使われている白っぽいボタン。このボタンにも種類があります。大きくは原料による違いがあり、まずは天然素材である貝ボタンなのか、プラスチック製であり貝調ポリに分かれます。そして、貝ボタンの中でも、タカセ貝ボタン、白蝶貝ボタン、淡水貝ボタンに分かれます。貝ボタンと貝調ポリを見分けるのは、個体差があるかないかです。表面を見るより、裏側を見るとわかりやすいです。本物の貝ボタン、特に白蝶貝のボタンが付いた洋服はいい洋服に違いありませんよ。
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