今回紹介するのはメタルボタン(金属ボタン)のお話。会社のサンプルを見ていたら、1着だけメタルボタンが付いている洋服がありました。
ボタンをよく見ると・・・これはコンチョボタンと言って、ネイティブアメリカンのアクセサリーなどに使われるメタルボタン。これは一枚の金属の板をプレスして裏に足をロウ付けしたものです。
メタルボタンにはこのように一枚の板をプレスしたものもあれば、他の製法で作られるものもあります。今回はメタルボタンについて見ていきましょう。
このページの目次
メタルボタンとは?
メタルボタンとはその名の通り、金属が素材のボタンのこと。一番身近にあるメタルボタンで言うと、学校のブレザーや学ランの金ボタンです。金属の種類はいろいろですが、よく使われるのはブラスと言われる真鍮と、キャストと言われる合金です。アルミのボタンもあります。
メタルボタンの色は、金属メッキによる、ゴールドやシルバー(厳密にはニッケル)、黒ニッケル、アンティークゴールド、アンティークシルバーなどがあります。また、塗装も可能です。
製法の違いによるボタンの違い
メタルボタンは作り方の違いによって特徴が変わります。その製法は大きくは分けて2つ。プレスして作るものと、合金を溶かして型に流し込むタイプのものです。
カブセボタン
プレスして作るタイプの代表格がこのカブセボタンです。これは先ほど話した制服のブレザーや学ランによく使われている金ボタンがそうです。下の写真は金ではないですが、カブセボタンです。
カブセボタンはプレスして作りますが、上と下のパーツを真鍮の板からプレスして、2つのパーツを組み合わせたものです。中は空洞になっています。なので、金属ボタンなのに軽いのが特徴です。メッキをする時に水に沈めるために、裏側には穴が開いています。これもカブセボタンの特徴です。
一枚もののプレスボタン
もう一つプレスボタンでよく使うのが、一枚もののプレスボタン。これは一枚の板をプレスして抜き、そのままボタンの形状にしたものです。プレスだけで作るので、形は限られてしまいます。一方で、比較的薄いボタンができるのが特徴です。
ダイキャスト(ダイカスト)ボタン
ダイキャストボタンは溶かした合金を金型に流し込んで作る方法です。より立体的で、中身も詰まっているため、重厚感のあるボタンに仕上がります。また、金属の型のため、型の耐久性も高く、たくさんのリピート生産も可能です。
ラバーキャストボタン
ラバーキャストボタンは、ダイキャストの金型がラバー(ゴム)型になったものです。原型のボタンを作り、そこにラバーを流し込み、ラバー型を作ります。この作り方だと、金型では表しづらい細かい表現も可能になります。また、ラバーなので、型代も金型に比べるとリーズナブルです。一方で、型が金型ほどの耐久性がないため、大量にリピートする商品の場合、型を何度も作る必要があります。
プラスチックのメタル調ボタン
原料はプラスチック(樹脂)ですが、見た目が金属のボタンがあります。それはABS樹脂ボタンです。ABS樹脂はプラスチックでありながら、金属メッキが可能です。そのため、メッキすることで、中身はプラスチックですが、見た目はメタルボタンに見えます。このABS樹脂ボタンは本物のメタルボタンに比べ軽量なので、メタルボタンだと重くて生地を傷めてしまうような薄い生地やニットにも使用できます。
メタルボタン(ABS樹脂ボタン含む)の注意点
最後にメタルボタンを選ぶ際、使う際の注意点です。
- 検針器対応品を選ぶ・・・検針器非対応だと製品検査時に検針器に引っかかる
- ニットに使う際はクリア加工を施す・・・ニット製品は原料を漂白するときに使う塩素が残留している可能性があり、メッキが腐食する可能性が高いため
- 製品洗いのバイオ加工はボタンを後付けする・・・メッキの腐食の可能性がある
- 洗濯表示では、漂白剤は使用不可
- 高温多湿の状態で長期間置いておくのも注意(腐食する)
まとめ
メタルボタンにもその製法により、いろいろなボタンがあることがお分かりいただけましたでしょうか。それぞれ特徴があるので、その用途やデザインによって使い分けてみてください。メッキの種類も増えているので、デザイン性の幅を広げるアイテムのひとつです!
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