ボタンづくりのこだわり!ポリエステルボタン工場の社長、工場長に直撃インタビュー!

ファッション資材の知恵袋ブログ!

付属屋社長が製造現場を行くシリーズ、前回の続きです。当社の仕入先であるルックウェルさん(以下敬称略)の子会社で和歌山県にあるボタンメーカーの株式会社タカオさん(以下敬称略)に訪問。前回は和歌山のボタン産業の歴史からポリエステルボタンの製造工程をレポートしました。前回のお話はこちらから。今回は社長、工場長へのインタビューを中心にお送ります。

前回のお話のおさらい

和歌山は日本にあるボタンの産地のひとつです。今回訪問したタカオの他にもボタンを製造するメーカーがあります。和歌山と言えば、梅やミカンが有名ですが実はボタンも有名だったのです。その理由は、戦前、農閑期に大阪のボタン工場へ出稼ぎに行っていた人が多くいました。ボタンの加工技術を持つ人が多かったこの地にボタンメーカーができたという訳です。

ボタンの切削機 タカオ工場内

天然素材のボタンの加工をする工場もまだありますが、タカオではポリエステルボタンの製造を中心に行なっています。柄出しに関わる原料の加工には職人技が欠かせません。原料である円筒状のタブレットを切削し、ボタンの形にし、研磨、仕上、検品と多くの工程を経てひとつのボタンができあがります。

タブレット(上)と切削後のボタン(下)

ルックウェルとタカオ

冒頭でも述べましたが、今回訪問したボタンメーカーのタカオはルックウェルの子会社です。ルックウェルはタカオで作成しているポリエステルボタン以外にもメタルボタン、天然素材ボタン、その他の服飾パーツを扱う総合ボタンメーカーです。

ルックウェルは大阪の貿易商が始まりで、間もなく創業100年を迎える老舗企業です。タカオの社長も兼務する松本社長は創業から数えて4代目の社長です。

右が松本社長

タカオは当初ルックウェルの子会社ではありませんでした。元々は単独のボタン工場でした。1965年当時取引していたボタンメーカーの仕事が激減、そこでルックウェルとの取引が始まり、ルックウェルの仕事が大半を占めるようになりました。そして2003年に完全子会社しました。

社長、工場長インタビュー

今回、ルックウェル社長であり、タカオの社長でもある松本社長とタカオ取締役の竹本工場長にインタビューさせていただきました。会社の概要や歴史などひと通りお聞きしました(前述の通り)。

和歌山でなぜボタン産業が起こったのか、ルックウェルさん、タカオさんのこれまでの歴史がよくわかりました。和歌山のボタン産業が縮小していく中、今でもこれだけの大きな規模でボタンを製造、販売しているルックウェルさんの強みは何でしょうか?

ひとつの工場ですべての工程を行なっている点があります。ポリエステルボタンで原料の製造から仕上げまでこれだけの規模で行なっているところは日本ではないでしょう。

ルックウェル 松本社長

特に原料の製造に関しては企画の創造性とそれを具現化する職人技が一体でできます。さらにそれを削ったり、研磨したり、すべての工程を社内で行うことで、柄、形状、ツヤの組み合わせての微妙な表現が可能になります。一部の工程を外部に出していると、それは難しいでしょう。また、一貫生産なので課題の解決も早いです。

もうひとつ、ここの工場の特徴で元々は大きなロットのものを生産する工場でした。しかし、レディース向けのボタン製造が増え、多品種小ロットのオーダーにも対応してきました。従って、お客様の要望に合わせた製造ができます。そこも当社の強みです。

複雑なデザインのボタンや意匠性の高いボタンを数多く手掛けているルックウェルさんの背景には一貫生産が生かされていたのですね。工場長にお聞きしたいのですが、タカオさんの製品へのこだわりはどの辺にありますか?

私たちの作り上げるボタンの中で、一番のこだわりはボタンの艶(ツヤ)です。

タカオ 竹本工場長

ボタンはツヤ、半ツヤ、ケシと研磨の加工方法で分かれます。中でも当社の半ツヤ、ケシは他社のものより手間を掛けて加工していますので、ムラや粉っぽさのない綺麗なケシ、半ツヤになります。これはケシ、半ツヤの個体差が出やすい後染色でも綺麗に同じように染まるように仕上げています。

商品のこだわりではないですが、工場見学を積極的にしてもらっています。目的の二つあります。ひとつはボタン製造に対する当社のこだわりを見ていただくためです。ここまでの多くの工程を経てボタンが製造されているのを見ていただければ、製品へのこだわりを理解していただけます。

もうひとつは現場従業員の意識です。外部の方にいつ見られても恥ずかしくない現場づくりをしています。汚い現場、整理されていない現場ではいいボタンは作れませんから。

こだわりのケシ

 

なるほど、おっしゃる通り、整理されていない工場ではいいものは作れません。今回見学させていただいた現場でもボタンひとつ落ちていませんでした。しかしながら工場を経営していく中では難しいこともありますよね。

タカオ 工場長

工場側で難しいと思うことは、工場の従業員は製造側のことを先に考えてしまうことです。これは製造と販売の考えのギャップで、メーカーではよくあることですが、やはり製販一体の意識が必要です。工場側でも販売の考えを理解してもらうようにしています。しかし、現場に頭ごなしに指示するとそれはそれでやらされ感を持ってしまい、いいものづくりができなくなります。なので、ダメ出しはせずに、うまくバランスを取りながらコントロールしています。

こうやって製造現場を見学してもらうことも現場従業員にはいい刺激になります。

そうですね、私も社会人になって初めに入った会社はメーカーでした。私は営業部にいましたが工場との考えの違いに苦労しました。バランスをとってコントロールしているのは素晴らしいですね。最後に松本社長、今後取り組んで行きたいことをお聞かせください。

ルックウェル 松本社長

ヨーロッパではすでに話題になっているエコ商品をもっと出していきたいです。当社でももう4〜5年前から取り組んでいて展示会でも発表しています。製造工程にバイオマス原料を使ったものや再生ポリエステルを使ったもの、エコテックス認証商品などがあります。日本ではまだまだ関心が低く、認知度も少なかったですが、ようやく話題にもなってきているのでもう少し広げていきたいです。

今の日本のアパレルはコストばかりが取り沙汰され、原価ばかり気にする傾向が続いています。アパレルでもこだわりを持ったものづくりが評価され、そういうブランドが活躍できる環境にもっとなっていくことを望みます。

最近は業界の新聞でも連日エコやサステイナビリティーという言葉が出ています。日本でもようやくという感じです。これからの日本のアパレルには貴社のようなこだわりを持ったメーカーが欠かせません。引き続きよろしくお願いいたします。本日は長い時間、工場見学にインタビューとご協力いただきありがとうございます。

今回のインタビューを行なった会議室にあった直径50cmはあるポリエステルボタン

最後に

今回、和歌山のルックウェルのボタン工場であるタカオに訪問させていただき、改めてボタンの製造工程の多さ、ひとつのボタンを仕上げるのにも手間と時間が掛かることを認識しました。そして、和歌山でなぜボタンの製造が始まったのかも歴史と共に知ることができました。

ボタン、それは洋服の中では脇役であり、小さく、存在感もあまりありません。しかし、そこには多くの人の手が関わって、こだわりのものづくりをしています。また、そこには歴史もあります。たかがボタン、されどボタン。細部にこだわるものづくりがブランドを作っていきます。「神は細部に宿る」そんなものづくりをしていくブランドと私たちも仕事をしていきたいと改めて思う今回の訪問でした。

ルックウェル 松本社長、タカオ 小林顧問、竹本工場長、ありがとうございます!

 

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社クロップオザキの代表取締役 尾崎博之。生地、ボタン、ファスナーなどのファッション資材を扱う会社での営業を20年以上経験。顧客はアパレル会社、セレクトショップ、商社など幅広い。その経験と知識を生かして、ファッション資材に関する悩みを解消したり、資材調達の手間を省くための活動を行っている。 詳しいプロフィールはコチラ