子どもに苦労をさせたくないという親の気持ちは正しいのか?

ボタン、ファスナー、生地など洋服の資材を扱う株式会社クロップオザキの2代目社長の尾崎博之(@cropozaki)です。 さて、今日のお話は「子どもへの苦労」についてです。

二条先生のある日のメルマガ

先日、経営の師である二条彪先生の後継経営者向けのメルマガに強烈のことが書かれていました(先生のメルマガについてはこちらから)。その題名は【自分と同じ苦労を子供にはさせたくないは,ほんとうに親心か?】というものです。

内容を要約させていただくと、

後継者として苦労してきた経営者は自分の子どもには同じような苦労をさせてたくない、子どもには子どもの人生があるので今の事業を継がずに自分の好きなように歩めという人がいる。しかし、それでいいのか。

子どもに苦労をさせてくないと願う親の気持ちはわかるが、苦労したり辛い思いをしたり、それを乗り越えて今の自分がある。さらに現実に苦労しない人生などない。親に必要なことは苦労しないようにすることでなく、苦労があっても受け止め、乗り越えていく精神、技量、反骨心を伝えていくこと。

経営者であるなら、今の仕事に誇りを持ち、やりがいを感じ、いろいろあるが幸せだということを子どもに伝えること。子どもに自分のように苦労させたくないと考えるのではなく、苦労を乗り越えるための知恵を身につけさせることなのだ。

というものでした。

自分も引き継がせたいというものでなかった

私も2代目の後継社長であり、社長就任直後から業績は悪化し、社員たちは次々と退社。どうしていいのかわからず、右往左往するばかりでした。そんな時に出会ったのが二条先生でした。当時の私も先生のメルマガにあるように子どもに「この事業を継がせる」とは全く考えていませんでした。子どもには自分のように苦労をさせたくないと考えていました。残される人のことなど考えもしていませんでした。現実をわかっていなかったのです。

2012年に二条先生の国際後継者フォーラムに入会し、セミナーを受けるようになりました。そのセミナーの中で毎年先生が行なっている「悩むな!後継社長!」という1日ものの講演があります。私はこの講演を聞いて、初めて自分の子どもにこの会社を引き継ごうと思いました。引き継いでもらえるような会社にしていこうと。

あれから7年。会社はいろいろ変わりました。従業員は私が社長になってから1/3が入れ替わりました。社員研修などを積極的に行うようになり、新卒採用を始めました。経営理念も刷新しました。今は従業員がかなり主体的に考え、行動してくれています。まだまだ今のビジネスモデルは収益性が低く、改善の余地はたくさんあります。さらにここに来て、また退職者も出てきてしまっています。かなりショックなことです。しかし、これも乗り越えることで成長していけるとこのメルマガを読んで思えました。

順風満帆な経営などありません。ましてや順風満帆な人生もありません。仮にそんな人生があったとしても、味気ないもので、逆にその順風満帆さがストレスになったり、辛くなったりするのかもしれません。

子どもに対して

メルマガの中で先生も言われていますが、「子どもに苦労をさせたくない」と親が願うのは自然なことでしょう。もっと言うと、幸せになってもらいたいと願っています。ここで「苦労しない」=「幸せ」ではないということなのです。ここに気づかないといけないのです。

メルマガでアメリカンインディアンの諺を引用した話が出てきます。

アメリカインディアンの諺で,
「子供たちに魚をたくさん渡すのではなく,魚の釣り方を教えろ」というものがあります。

苦労のない人生を送ってほしいは,魚をたくさん渡すことではないでしょうか。
たくさんの魚もいつかは食べ尽くしてしまいます。
私たちに必要なことは「苦労するな」と言い願うことではなく,
魚の釣り方,つまり苦労を乗り越えていく知恵を教えることではないでしょうか。

苦労を乗り越える知恵、乗り越える強さを身につけていかないと、いつまで経っても親から自立することができません。苦労を乗り越えることで人は成長していくのであり、そして幸せを感じていくのです。

このことに関しても私は子どもが小さい時にはこれは考えられませんでした。苦労しないように、困らないようにと親が先回りして保護してきた部分も否めません。しかし、今回、長男は高校進学するにあたり、都内の学校でなく、地方の学校で寮に入ることを自分で決めました。そこにはたくさんの苦労があるでしょう。一人で暮らしていく苦労に加え、一人で勉強する苦労、さらに野球をやるためにそこを選んだのでその苦労。特に野球は1年生だけで40人弱の選手。そこでの活躍というのは並みの努力では無理でしょう。でも、そこは彼が選んだ道なのだからいいのです。親として妻も私もその彼の選択に相当反対しました。しかし、彼はそこを押し切って行きました。今回のメルマガを読んで、それでよかったのだと改めて思いました。

「苦労すること」、自ら火中の栗を拾うような状況に追い込まなくてもいいと思いますが、人生いろいろなことが起こります。それに対応していくには、親からの教えがあり、アドバイスがあり、そして、自分の経験が活かされていくのです。経営者として、社会人として、親として、考えさせられるメルマガでした。

今日の教訓

苦労は買ってでもしろ!

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社クロップオザキの代表取締役 尾崎博之。生地、ボタン、ファスナーなどのファッション資材を扱う会社での営業を20年以上経験。顧客はアパレル会社、セレクトショップ、商社など幅広い。その経験と知識を生かして、ファッション資材に関する悩みを解消したり、資材調達の手間を省くための活動を行っている。 詳しいプロフィールはコチラ