「ペイ・フォワード」11歳の少年から2代目経営者へのメッセージ

2000年公開の「ペイ・フォワード」という映画を観ました。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、私はこの映画は知りませんでした。ある方からの勧めで観ましたが、かなり考えさせられる映画でした。この題名になっている「ペイ・フォワード」は、簡単にいうと「善の循環」ということ。子を持つ親として、経営者として、そして一人の人間としても、主人公のトレバー少年から学ぶことの多い作品でした。中でも思い通りに行かないからとあきらめない、挑戦し続ける大切さを痛烈に思い知らされました。

*これ以降、ネタばれになってしまうので、知りたくない方は映画をご覧になってからお読みください。

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ペイ・フォワードのあらすじ

ラスベガスに暮らす母子家庭のトレバー少年、11歳。トレバー少年の学校に新しい社会の先生であるシモネットがやってきます。シモネット先生は子どもたちに最初の授業で課題としてこう伝えます。

Think of idea to change our world — and put it into ACTION!

世界を変える方法を考え、それを実行してみよう!

これを聞いた生徒たちの反応は、「難しい」、「無理だ」というもの。しかし、シモネット先生は「それを『可能だ』と考えたら、君たちなら必ずできる」と語りかけます。この言葉にトレバー少年はあるアイデアを思いつきます。それが「ペイ・フォワード」=「次へ渡す」ということ。人から受けた厚意、親切をその人に返す(ペイ・バック)ではなく、次の人に渡していくというもの。

1人の人が3人に、その人たちが変われるような厚意をしていく。そして、その厚意を受けた3人が、さらに3人に厚意をしていくというアイデアです。ネズミ講式に善意が広がり、世の中が変わっていくというものです。

トレバー少年は身近にいる複雑な過去を持つ大人たちに行動をしていきます。途中までは上手くいきますが、その先が思うようにいきません。しかし、ペイ・フォワードがトレバー少年の知らないところで密かに広まっていっていました。そして、自分の周りの人たちの人生も変わっていったのです。しかし、結末は・・・。

 

トレバー少年の教え「少しづつ」

「ペイ・フォワード」という考えはこの映画を観るまで知りませんでした。映画の中で、トレバー少年が黒板に図を書きながら説明するシーンを観て、なるほどこれは素晴らしいと感心させられました。世の中、自己中心で、自分勝手な考えで行動をすることが多いです。

しかし、ちょっとのいい行動が広がっていけば、世の中もちょっとはよくなる。少しだけでいいから人に親切をしてみる、役立つことをしてみる。そこには見返りを求めずに。それが循環していけば、いい社会に「少しづつ」なっていく。

この「少しづつ」が大切だと感じます。映画の冒頭で「世界を変える」という言葉に、多くの生徒が「できない」「難しい」「無理」と言いました。トレバー少年もそう思いました。11歳の自分に世界を変えることなどできないと。でも、勇気を出して「少しだけ」いつもと違う行動をしてみた。それが最後には世界を動かすようなムーブメントになっていく。

初めから「世界を変えよう」なんて考えると、多くの人が無理だと感じます。だけど、「少しづつ」でいいので「いつもとは違う行動」をするということは誰にでもできます。それをする勇気さえあれば。些細なことでいいのです。道に落ちているゴミを拾うとか、お年寄りに席を譲るとかでも。自分では実感できなくても、その少しの行動が「少しづつ」周りを変えていくでしょう。

 

トレバー少年の教え「行動しないと始まらない」

映画に出てくる大人たちは、口では偉そうなことを言っていますが、結局自分たちの現状を変えたくない。これはシモネット先生もそうでした。大人は現状を変えたくない、慣れた生活が楽で、新たなチャレンジなどしたくない。「世界を変えられる」と言っておきながら、今での経験や知識にとらわれて行動できなくなってしまう。大人は考えているだけ、行動しない・できないことが多いと訴えているのです。

行動しなければ何も起こらないし、何も変わりません。これは経営者セミナーなどでも何度となく言われてきたことです。トレバー少年は行動しているのに、大人は口だけで行動をしないのです。いろいろな知識や経験が足かせになって大人は行動をするのを躊躇います。そこに必要なのは少しの勇気です。少しの勇気を出して、行動をしてみることなのです。特に経営者には行動が欠かせません。だから経営者に必要なのは行動を起こす少し勇気なのです。

 

トレバー少年の教え「あきらめない」

この映画の大きなテーマが「あきらめない」ということ。最後にトレバー少年は「あきらめたら負けなんだ」と言います。前述の「行動できない」のと一緒で、大人になるといろいろな知識や経験を得て、いろいろなことを知っているから、あきらめてしまうことも多いのです。特に世の中の常識だとか、仕事の上の常識とかに照らし合わせ、「できる訳ない」とか「そんなの馬鹿げている」とか考え、あきらめてしまうのです。私自身もあきらめて止めてきた行動は数知れず。チャレンジせずに安全牌ばかりを選んできた半生です。しかし、あきらめてチャレンジせずに、後悔することも多かったです。「もしかしたら、あっちでも行けたのでは」と後から思ってしまいます。それも自分の選んだ人生なのでそれでもいいのですが、映画を観て、あきらめなかったらどうだったのかを考えさせられました。これからの人生で一つでも「あきらめない」行動をしてみます。

 

2代目経営者だから感じること

「ペイ・フォワード」のトレバー少年のアイデアは秀逸です。「善の循環」というより「善のねずみ講」です。人は一人では生きていけない訳で、何らか人と人の関わりを持っています。その人の関わりの中で、ちょっとの厚意、親切を施していきます。それをその人に返すのでなく、次の人に施していく。それがいい世界にしていくことになります。

しかし、今回の映画から私が感じたのはこの「ペイ・フォワード」自体の考えではなくトレバー少年から教えです。大人は口では偉そうなことを言いますが、結局、できていないことが多い。大人は今までの経験や知識から自分の価値観で行動しない、チャレンジしない、あきらめてしまうことが多いからです。

これは私が2代目経営者だから特に感じることだと思います。2代目経営者は同じ経営者でも創業者とは違います。創業経営者は、自分のやりたいことで事業を始め、自分のやり方で経営を進めていきます。そこに付いて来る社員を雇います。しかし、私のような2代目経営者は、できあがった商売を引き継いでいきます。先代が雇った社員と一緒に進んでいきます。そこには創業経営者とは違う難しさがあります。まずは商売を引き継ぎ、社員を引っ張っていくリーダーシップを取っていかなくてはなりません。そうすると、新たな行動をしていくより、守りの方が強くなってしまうのです。いつの間にか、この映画に出てくる大人たちのように新しい行動を拒み、行動する前にあきらめることが多くなります。だからこそ、余計にこの映画から、トレバー少年から学ぶことが多かったのです。

大切なのは、大きな変化をさせようと思わず、「少しづつ」でいいので行動すること。いつもとは違う行動する勇気を持つこと。そして、やる前からあきらめないこと。経営者、特に私のような2代目経営者には必要な3つなのです。「少しづつ行動」「いつもと違う行動する勇気」「あきらめない」心に刻んで、経営していきます。

ぜひ、2代目経営者の方はこの映画を観てみてください!必ず学ぶことがあるはずです。

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社クロップオザキの代表取締役 尾崎博之。生地、ボタン、ファスナーなどのファッション資材を扱う会社での営業を20年以上経験。顧客はアパレル会社、セレクトショップ、商社など幅広い。その経験と知識を生かして、ファッション資材に関する悩みを解消したり、資材調達の手間を省くための活動を行っている。 詳しいプロフィールはコチラ